チームで治す褥瘡(床ずれ)②

Uncategorized

※ご本人、ご家族ご了承のもとお写真使わせていただいています。

前回の記事→https://tukusinbost.com/20240329-2/

つくしんぼチーム

⇒褥瘡発生後、約2ヶ月経っても褥瘡の改善がみられず、PTが週2回だったところの1回をOTが介入することとなりました。

医師:処置の方針の決定、感染への対応

看護師:訪問回数を増やしての褥瘡の処置・観察

理学療法士:関節が硬くならないようなストレッチ、立つ・歩くといった基本動作能力の維持

作業療法士:圧集中部やズレ発生原因の確認→身体に合った車椅子の選定・適合、ベッド上のポジショニング方法の検討・周知、ズレの少ない動作方法の伝達

ケアマネージャー:必要に応じた福祉用具の導入・日程など各方面への調整、デイサービス等他事業所への伝達 

ポジショニング

マットレス:褥瘡発生時にエアマットに変更しました

スライディングシート:寝返りなどベッド上での動作でのズレをなくすために使用しました

ポジショニングクッション:2種類のクッションをレンタルにて導入し、またご家族が作成していただいたものやPTが作成したものを組み合わせてポジショニングを行いました

左(介入前):膝が曲がって太腿がマットレスから浮いており、太腿の重さが臀部にかかるため、より褥瘡に圧が集中してしまっていました。また、膝がくっつくように脚の内側に力が入って、リラックスしにくい状況でした

右(介入後):太腿の重さを真下で受け止めて支えられるようにクッションとウレタンを使うことで、太腿の重さが臀部にかからなくなり、圧の分散を図ることができました。また、脚全体がクッションで支えられたことで、リラックスでき、脚に力が入りにくくなることで、膝の間が空くようになりました

:写真ではわかりづらいですが、両肩が浮き、顎が天井方向に突き出るようになっていたため、リラックスしづらく、またむせこみやすい姿勢になっていました

:肩甲骨から全体的に支えることで、両肩がリラックスでき、また頭の支えも増したことで、顎が突き出ることがなくなりました

:寝返りや起き上がりの時に臀部とシーツの間で摩擦やズレる力が発生し、褥瘡が悪化していました

:寝返りなどの動作の時にはスライディングシートを使用することで、摩擦やズレる力を取り除くことができ、褥瘡が改善しました

車いすの調整

車いす:身体の幅(殿幅)と車いすの座幅が合うもの、足が床について安定する高さに座面高が合うもの、背中を支えられるように背張り調整ができるものを選び、調整しました。また、屋内と屋外の車いすを分け、屋内は主に食事などがしやすいような姿勢ができるもの、屋外は移動時になるべく臀部に負担がかからず姿勢が崩れにくいものを選定・適合しました

クッション:屋内は足の着く高さにしたかったので、厚みがなくかつ圧分散性が高まるよう調整できるエアとウレタンの素材のもの、屋外は姿勢が安定しかつ圧分散性が高いものを選定・適合しました

車いすと車いす用クッション:車椅子の説明にあるように、前滑りせず姿勢の崩れをなくし、圧分散のできるものに変更しました。

車いす・クッションを目的に合わせて選定・適合することで、褥瘡を改善させながらも、座ってお出掛けするなど活動的に過ごすことができます。

まとめ

  • 褥瘡発生の原因となる圧とズレを確認:ベッド上での位置調整や、寝返り・起き上がり動作時のずれ力の発生、臀部への圧の集中、また車椅子上での姿勢崩れによる圧の集中およびずれ力の発生が考えられました。
  • 褥瘡発生の原因の除去:ベッド上では、ポジショニングを実施して圧の分散をし、動作時はスライディングシートを使用することでズレ力が発生しないようにしました。車いす座位の姿勢を改善させるため、ご本人の体の状態に合った車いすへと変更し、圧の集中とズレ力の発生を防ぎました。車椅子変更により、食事時なども姿勢が崩れなくなり、安定して座れることで座っての運動もしやすくなりました。
  • その後の経過:褥瘡は感染もあったためすぐに改善しなかったものの、ご家族や他職種とケアを統一していくことで、徐々に改善がみられ、約半年後に治癒しました。

つくしんぼチームで日々綿密に情報共有し、何が褥瘡悪化の原因かを理解し、原因を除去するためのケアの統一を図ることで、遠くへのお出掛けは減らしたものの、日々の楽しみである近所への外出は中止せずに、褥瘡を改善することができました。

追記 ご家族からの感想

夫

今回褥瘡ができ、思ったよりも治るまでに時間がかかりました。褥瘡はできる前の予防が大切で、その知識を専門職の方々に教えていただくことが大切だとわかりました。

みなさんも、褥瘡は予防が大切ですので、何かわからないことがありましたら、是非私たちにご相談ください。褥瘡を予防しながら、楽しみのある生活が送れるようにしていきましょう。

勉強会のおしらせ

お申し込みはこちらからもできます。https://forms.gle/iY81BXCjdrJzdLdA7

コメント

タイトルとURLをコピーしました